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令和8年2月10日 市長定例記者会見
【資料1 令和8年度 当初予算の概要 インフレ時代の豊かさと幸せを】
【市長】
資料1に基づき説明
【記者】
資料1表紙の「インフレ時代の豊かさと幸せを」というフレーズは、市長が付けられたと伺いました。昨年あたりからデフレ脱却やインフレについて言及されていますが、時代に対応した予算編成が求められる中で、このタイトルに込めた思いを教えてください。
【市長】
ご存知のように、日本はこの30年近く、物価も賃金も上がらないデフレ、あるいはゼロインフレの経済状況のもとで、財政運営や市民生活が営まれてきました。経済の効率が悪くても物価が上がらない状態は、一見マイナスばかりではありません。そして、それが日本人の意識に深く定着してきたがために、この30年が続いてきたと考えています。しかし、世界的に見れば、資本主義国家としては極めて異例の状態が続いてきたと言えます。その結果、日本は「安い国」とも言われ、世界水準と比べて経済的な力が低下しました。物価も賃金も上がらない中では企業の国内投資も進まず、特に若い世代が将来、より豊かになる展望が見えない状況が続いてきました。この2、3年は物価上昇が先行する形でデフレからの脱却が進んだと認識しており、今後はインフレ基調のもとで日本人は当面生きていくことになると思います。
重要なのは、物価上昇を上回る賃金上昇を実現する経済環境を、国、自治体、企業が共有しながら整えていくことです。それが一人ひとりの豊かさと幸せにつながる必要があります。デフレ時代は、経済効率が低い一方で格差が比較的抑えられ、ある種の平穏さもありました。しかし、インフレ時代には経済効率を高める中で格差が拡大しやすくなります。そのため、インフレを前提とした未来志向の積極投資と、格差に対応する公共政策をバランスよく進めることが必要です。
今回、一般会計の予算規模を拡大したのも、将来への投資を進め、その成果を税収増として還元し、さらに未来への投資や生活基盤の充実に振り向けるという好循環をつくることを目指したものです。そうした考えを込めて「インフレ時代の豊かさと幸せを」というタイトルを付けました。
【記者】
本年度予算において、その「投資」と「格差対応」のバランスは、どのような事業に表れているのでしょうか。
【市長】
一つは、国の方針も踏まえた小学校給食費の無償化の予算措置です。また、今年度から実施している18歳までの医療費無償化や、3歳未満児の第二子以降の保育料無償化など、所得にかかわらず生活の基盤に関わる部分を公共が提供していくということは、バランスの象徴の一つであると思っています。
【記者】
予算全体を見ると、新規事業についてはこれまでに方向性が示されてきたものや、来年度取り組むとされていたものが多く、目新しさはあまり感じられない印象もあります。一方で、それは市長が2期目で思い描いてきた政策が順調に進んでいるということなのでしょうか。
【市長】
見たことも聞いたこともないような全く新しいものは、ほとんどないと思っています。私は、2030年に「一人ひとりが豊かさと幸せを実感できるまち」の実現を掲げ、「女性と若者に選ばれるまち」、「子どもが主人公のまち」という旗印のもとで具体化を進めてきました。その取り組みを段階的に進めてきた結果、就任から6年が経ち、議会の皆さんの理解も広がり、予算化や制度化が相当程度形になってきたと受け止めています。
【記者】
人口定常化と市立特別支援学校設置事業との関連について伺います。これは、元々市内に住んでいる方にこうした教育を望んでもらい、市にとどまってもらうためのものなのか、それとも市外に住んでいる方に対して、松本市ではこうした教育が受けられると呼び込むためのものなのか、どちらの要素が大きいのでしょうか。
【市長】
両方です。まず、この特別支援学校は1学年10人未満という非常に小規模な学校であり、これ一つで人口の増減に直接的に大きな影響を与えるものではありません。ただし、人口定常化や東京一極集中、人口偏在の是正を考える中では、仕事や住まいといった要素に加え、松本市は自然環境や文化資源に恵まれているという前提がありますが、そうした中で公教育が充実していることが、非常に重要だと考えています。そして、公教育の充実という点では、多くの子どもたち、いわば中間層の満足度を高める教育が重要です。
一方で、今回の市立特別支援学校のように、特別な支援が必要な子どもたちに対して、よりきめ細かな教育を提供することへの需要も非常に大きいと認識しています。特に大都市では対応が難しいケースもあり、そうした子どもを育てている世帯や、松本市内に住む世帯にとっても、個性や能力に応じた教育が受けられることは、暮らしの質を高めるものだと思っています。この市立特別支援学校は、「インクルーシブ教育」と称していますが、あらゆる子どもたちが自分らしく教育を受けられるようにするための一つの象徴的な取り組みとして位置づけています。
【記者】
インフレ時代へ転換したということで重点施策は理解しましたが、逆に削減したものや、見直しが必要と判断して今回の予算に反映しなかったものがあれば教えてください。
【市長】
事業の見直しは日頃から行っているつもりですが、今回の予算編成において、大きな金額を一括して削減したようなものは特段ありません。
【記者】
資料1の項目1の「予算編成の取り組み」3番にある「財政の持続可能性を考慮した」という点について伺います。予算規模が拡大し、6年連続で1,000億円を超えていく中で、どのように持続性を担保していくお考えでしょうか。
【市長】
持続可能性を考えるうえでの重要な指標として、市債残高や財政調整基金の水準をコントロールしていくことを重視しています。これらをマクロの視点で管理することが、財政の健全性を測る目安になります。
そして、今ご指摘のあったように一般会計総額が増えていること自体が、デフレではない状況を示しているとも言えます。デフレやゼロインフレの時代は、総額を一定に抑えることが優先されてきましたが、私は数年前からそこから舵を切ってきました。デフレからインフレへの転換がより鮮明になった今、役所内はもちろん、市民や事業者の皆さんともその認識を共有していきたいと考えています。
先ほども申しあげましたが、インンフレには当然マイナス面もあります。政府は物価目標を2%としていますが、現状は3%程度上昇していますので、インフレ率が適切にコントロールされ、企業、とりわけ中小・零細企業までが賃金引き上げを実現できる環境が重要です。基礎自治体としては、その環境整備を補完する役割を果たしつつ、市債残高や基金残高を適切に管理することによって、財政の持続可能性を担保していきたいと考えています。
【記者】
資料1の歳入について、市税が過去最大規模となった点をどう見ているか伺います。全体的なインフレ基調や賃上げの影響があると思いますが、製造業や観光業が好調との説明もありました。市長として現在の状況をどう評価し、今後の景気や税収の伸びをどのように見通しているのかお聞かせください。
【市長】
松本市の産業構造は、長野県全体と比べると特徴が異なります。長野県は製造業の比率や出荷額の割合が全国平均より高い傾向がありますが、松本市はそこまで製造業に偏っておらず、どちらかといえば全国平均に近い産業構造です。そのため、特定の業種に依存するのではなく、さまざまな産業に目配りをしながら、きめ細かな制度や予算を通じて支援していくことが基礎自治体としての産業政策だと考えています。現状については、街中のにぎわいや、特に欧米豪からの外国人観光客の増加、その方々が長期滞在し地域経済に貢献している状況を見ると、全体としては非常に順調な状態にあると受け止めています。
一方で、コロナ禍で経験したように、外需に依存することにはリスクもあります。そのため、松本市に住む人々の投資や消費によって地域経済がしっかり循環することが重要です。その基盤となるのは現役世代の人口の厚みであり、さらにその世代が家庭を築き、希望通りに子どもを産み育てられる環境を持続的に整えていくことこそが、最も重要な経済政策であると考えています。
【秘書広報室】
予算については以上です。続いて市長からお願いします。
【資料2 2026衆議院選挙松本市の投票率 60.04% 前回比 +6.23ポイント】
【資料3 2026衆議院選挙松本市の投票率 10~40代関心高く前回比+8~11ポイント】
【資料4 2026衆議院選挙松本市の投票率 5割近くが期日前投票を利用】
【資料5 2026セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサート Aプログラム】
【資料6 2026セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサート Bプログラム】
【資料7 2026セイジ・オザワ 松本フェスティバル 充実のプログラム】
【資料8 2026セイジ・オザワ 松本フェスティバル 公演スケジュール】
【市長】
資料2~8に基づき説明
【記者】
衆議院選挙について伺います。2月7日の自民党の藤田ひかる候補のマイク納めの際、市長は「自民党の中でも大勢に流されることなく、自らの信念を持って政治家としての歩みをしていく力がある方で、さらにジェンダー平等・平和や共生・日本の国の在り方のけん引役になっていけると思う」と応援演説をされました。この「大勢に流されることなく」という言葉が印象に残りましたが、現在の自民党の大勢をどのように認識しているのか、またその表現を用いた理由を教えてください。
【市長】
投開票日前日の時点で、報道各社の終盤情勢では自民党が300議席を超える可能性もあると伝えられていました。高市総理大臣による今回の解散で、自民党が大きく議席を伸ばし、高市総理の国家観や憲法観、安全保障政策といったものが、より強く推進されることが相当程度予見される状況でした。
先ほど少し触れさせていただきましたが、2005年の小泉郵政解散やその後の政権交代、民主党政権、そして3年後の安倍一強といった経緯を見ても、現在の小選挙区制を軸とした制度では選挙結果の振れ幅が大きくなるのはある意味で制度上の必然です。今回もそのような結果となりました。
もちろん、私の考えと当時の藤田ひかる候補の考えが完全に一致しているわけではありませんが、選挙期間中の発言や報道でのアンケート回答などを見る中で、仮に自民党が300議席を超えるような体制が確立したとしても、藤田候補であれば自らの憲法観や国家観、安全保障政策についてしっかりと堅持しながら議員活動を続けていかれるのではないか、そうあってほしいという思いを込めての発言でありました。
【記者】
それはつまり、高市総理の国家観や憲法観が前面に出てくると考えているということでしょうか。
【市長】
そのように皆さんも考えるのが自然ではないでしょうか。総理として実現したい政策を推進するために政権基盤を強化する目的で行われた解散総選挙であり、その結果、高市総理が目指した、あるいはそれ以上の結果が出たということです。そうであれば、今後は高市カラーのにじんだ政策が具体化していく方向が想定されるのではないかと思います。
【記者】
投票率が60.04%と前回より6.23ポイント上昇し、昨年の参院選も上回りました。県内19市中7位という結果でしたが、なぜここまで松本市の投票率が上がったとお考えでしょうか。
【市長】
全体として投票率は上がっています。その中でも松本市はそれ以上に伸びたということですので、一つの要因としては新たな候補者の存在があったと思います。特に30代の女性候補が立候補したことは、有権者の関心を引き上げる要素になったのではないでしょうか。どの候補者が良い悪いという話ではなく、政治の世界に新しい風が入るという期待感、また長野県内では小選挙区制の下で女性の衆議院議員がいない状況ですので、女性有権者にとっても意識するきっかけになった可能性はあると思います。やはり、この候補者が新しい風や視点を持ち込んだというのは一因だと思います。
また、これは松本市に限ったことではありませんが、日本を取り巻く世界情勢が大きく変動していることも背景にあると思います。戦後や冷戦後と比べても国際秩序が揺らいでいると感じている方は多いのではないでしょうか。やはり、グローバリゼーションのけん引役で世界のリーダーだったアメリカがその座を自ら放棄をし、力の行使による現状変更をためらわないというトランプ政権の行動を、日々私たちも報道を通じて目にしています。経済・軍事の面で中国がアメリカと対峙する超大国となってきている中、その2つの大国と対峙をしていく日本という国の経済や安全保障をどうしていくのかという問題は、特に若い世代にとって自らの将来設計と直結するテーマです。
そうした中で、政治に対する関心が幅広い世代で高まっていることが、今回の投票率上昇につながったのではないかと考えています。ただ、その期待が裏切られれば、政治に何かを期待するのも意味がないという空気に逆転する可能性もありますが、2026年の日本においては、政治への関心の高まりを幅広い世代の人たちが感じていると思っています。
【記者】
藤田候補が当選されましたが、市長はこれまで、多極分散や東京一極集中の是正に共感する部分があるとおっしゃっていましたし、報告会場では女性が当選した意義についても触れられていました。改めて、期待するところをお聞かせください。
【市長】
私も、政治記者として永田町や政党、政治家を取材してきた立場でもありますので、一人の1年生議員が直ちに大きな構造を変えられるとは楽観していません。
一方で、私が国政に最も求めたいのは、明治以降連綿と続いてきた中央集権体制、東京一極集中の是正です。かつては、田中角栄元総理を源流とする経世会という政治集団のように、地方出身で叩き上げの政治家が、東京に集まった富を地方へ配分する、いろいろ問題点はあったにせよ、明確な軸を持った政治集団だったと思います。しかし、2000年以降は、小泉政権や安倍政権の下で、人口減少局面の中、東京にヒト・モノ・カネを集めて世界と対峙するという発想が主流となり、東京で生まれ育った人材が政治や官僚、大企業の中枢を担う構図が強まりました。その結果、東京による東京のための政治が強まっていることに、私は大きな問題意識を持っています。
従って、これは務台衆議院議員も力点を置いていましたが、藤田議員に限らず、長野県選出の国会議員、さらには東京圏以外の政治家が連帯し、東京一極集中の是正や自立分散型国家・社会の実現を大きな政治のムーブメントにしていくことを期待しています。藤田議員は首都圏で生まれ育ち、外務省や外資系コンサルタントの職を辞して信州で政治を志した経歴をお持ちですので、そうした問題意識を共有していただけるのではないかと感じています。
もう一点は、性別にかかわらず挑戦できる社会をつくるということです。私も取り組んでいますが、まだ十分とは言えません。今回の大きな支持の一つには、高市総理のいろいろな要因があったと思いますが、初の女性総理という点への期待感もあったと思います。藤田議員ご本人は性別を強調されないかもしれませんが、現状において女性が国会議員となった意義は大きく、ジェンダーの課題にも積極的に取り組んでいただけるのではないかと期待しています。
【記者】
衆議院議員選挙について伺います。今回、期日前投票が5割近くに達し、前回より13ポイントも上昇しました。期日前投票が増えるにつれて、投票日まで吟味して投票するという意識がなくなってきて、今回は特に解散から投票まで16日間という短期決戦の中で、政策を十分吟味する時間が短かったというのもありますが、雰囲気で投票が決まってしまう傾向が強まるのではないかという懸念もあります。選挙制度そのものにも関わる問題かと思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
【市長】
期日前投票そのものについては先ほど触れましたので、もう少し広い観点で申しあげますと、今回顕在化した課題の一つは、公職選挙法の時代錯誤さのようなものだと感じています。私は、報道の立場も経験し、また実際に選挙も戦ってきましたが、政治活動と選挙運動の線引きは非常に分かりにくい実態があります。選挙運動は公示から投票日前日までと期間が定められ、量的制限もありますが、政治活動はその期間中も継続して行うことができ、一定の範囲で制限がありません。
今回、象徴的だったのは、インターネット広告の活用です。政党のPRが政治活動と位置づけられれば、量的制限は基本的にありません。資金力のある政党が大量にインターネット広告を展開すれば、資金量の差が選挙結果に影響を与えかねない構造があります。紙のビラには枚数制限があり、証紙も必要ですが、インターネット広告にはそうした制限がないという違いがあります。これは現行法のもとでは合法的な手段であり、特定の政党に限った話ではありませんが、特に今回の選挙ではインターネット広告が非常に大胆に展開されました。マスメディアやある年齢の層の人たちは、そうした手法がここまで大胆に展開されるということを、念頭に置いていなかったのではないかなと思います。
スマートフォンを通じて情報を得る世代にとっては、インターネット広告が主要な情報源になっています。そういう意味では、インターネット選挙における量的規制の在り方や、選挙運動と政治活動の線引きをどう考えるのかといった点は、今後「公正で公平な選挙とは何か」を問う上で避けて通れない課題であり、議論が必要だという問題意識を持っています。
【記者】
先ほど東京一極集中についての懸念をおっしゃっていましたが、地方の財源ということもあると思います。予算の中でも地方消費税の交付金は約7%を占めているということで、昨日も高市総理が国民会議で議論を加速するという発言がありましたが、地方自治体を運営する立場から見て、消費税の扱いについて市長はどのようにお考えでしょうか。
【市長】
おっしゃるように、現在の制度では国税である消費税の一定部分が地方財源として配分される仕組みになっています。従って、消費税の減税が議論される場合、それが期間限定なのか、あるいは恒久的なものなのかは分かりませんが、地方財源としての取り扱いをどうするのかという議論が置き去りにされてはならないと思っています。
先ほども申しあげましたが、そのことを重視し、消費税の問題にとどまらず、国と地方の税源配分などの根本的な問題についても改めて考える必要があります。東京など大都市と地方の対立という構図で議論するのは生産的ではありませんが、人口減少の時代において日本全体が豊かさと幸せを享受していくために、国と地方、中央と地方、大都市と地方がどのような関係であるべきかという大きな議論を、国政を担う政治家や中央官僚にはしっかりと展開してもらいたいと思います。私たち地方自治体の立場としても、自治体同士の連携を通じて、政治的メッセージをより強く発信していく必要があると考えています。
【記者】
夏までなど期限を区切ったものでは、やや拙速な印象もありますか。
【市長】
期限の問題というよりも、議論の中身が重要だと思っています。先ほど申しあげたような視点が議論から抜け落ちないかどうかを、しっかり注視していきたいと思います。
【記者】
先ほど説明があった「子どものための音楽会」について、来年度からオペラと交響曲を一日で実施する形になるとのことですが、この内容に変更することになった経緯を教えてください。背景には小澤征爾音楽塾オーケストラのオペラプロジェクト終了があるのではないかと思うのですが、詳しく教えてください。
【市長】
まず申しあげたいのは、「子どものための音楽会」と「子どものためのオペラ」それぞれについて、収容人数に対する実際の参加状況を見たとき、直近では小学校6年生や中学校1年生の参加割合が、特にオペラの方では収容人数の5割を切る程度になっていたという状況がありました。正確な数字は後ほどお知らせしますが、そうした状況を踏まえて検討を行いました。
もう一つの契機として、令和9年に予定している公演があります。もともと小澤征爾さんがウィーン国立歌劇場に持ち込んだモーツァルトのオペラ『魔笛』について、ウィーン側から松本市で公演を行わないかという提案があったことも背景にあります。
私も一部を拝見しましたが、従来のオペラのイメージとは異なり、観客と演者の空間の取り方が非常に自由で、子どもにとっても魅力的な内容になっていました。本場の公演がいわば逆輸入の形で、松本市で実現する可能性があるということと、現在の参加状況などを比較したとき、費用対効果の面から見ても、また小澤さんが子どもたちに本物の音楽を体験させたいという思いを体現するという観点からも望ましい方向ではないかと考えました。こうした考えについて実行委員会関係者や理事会の皆さんにも理解をいただき、現在その準備を進めています。なお、令和8年度については、その移行期としての公演という位置付けになります。
【記者】
確認ですが、オペラの子どもの参加率は5割程度という理解でよろしいでしょうか。
【市長】
その点については、正確な数字を改めて確認したうえでお伝えします。
【記者】
参加率が低いというのは、学校全体の中で参加する学校数が少ないという理解でよろしいのでしょうか。
【市長】
それもあります。
【記者】
子どものためのオペラと音楽会は、それぞれ開催される体制が長く続いてきたと思います。小澤さんが大事にしてきた「交響曲とオペラが両輪」という考え方がありますが、新しい体制になるとオペラとしてのカラーがより強くなるのではないかとも感じます。小澤さんの思いを子どもたちに伝えていくために、市長として大切にしたいことがあれば教えてください。
【市長】
小澤さんの思いを最も引き継いでいるSKOの主要メンバーの皆さんも、今回の移行についてはぜひ進めていこうという認識を共有しています。確かに交響曲とオペラの二本柱という側面はありますが、子どもたちが本物の音楽に触れ、将来演奏する側として、また多くの場合は音楽を聴く側としてさまざまな経験を重ねていく入口として考えたとき、令和9年から予定している取り組みは大きな意味を持つものだと考えています。これまでの取り組みももちろん意義がありましたが、新しい形によって、これまでと同様、あるいは場合によってはそれ以上に、子どもたちに本物の音楽を届けることができるのではないかと思っています。そうした機会にできるだけ多くの子どもたちが参加できるよう働きかけながら、取り組んでいきたいと考えています。
【記者】
引き続きOMFについてお伺いします。コンサートBプログラムについて、指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトさんを選ばれた理由と、人選がどのように行われたのか教えてください。
【市長】
プログラムの選定については、例えばOMF首席客演指揮者の沖澤のどかさんの演目は、沖澤さん自身のリクエストがベースとなり、その内容をSKOの主要メンバーで構成されるアドバイザリー委員の皆さんで検討し、最終的な演目を決定しています。
Bプログラムの指揮者についても同様で、幅広いSKOメンバーの中から誰が適任かという意見をアドバイザリー委員の皆さんが集約し、そのうえでアドバイザリー委員の皆さんで最終的に招聘する人物を決定するという流れになっています。今回のフランソワ=グザヴィエ・ロトさんの起用も、そうしたプロセスの中で決まったものです。
【記者】
ロトさんについてですが、2年前にセクハラ疑惑が告発され、2024年11月の来日公演が中止になっています。過去にもオーケストラの女性団員に対する指揮者のセクハラ問題が大きく取り上げられたことがありました。ロトさんはベルリン・フィルでは復帰していますが、日本国内での復帰の場としては今回が初めてになります。その点で、この機会がふさわしいのかという疑問もあります。
また、OMFでは以前にもシャルル・デュトワさんが同様のセクハラ疑惑の後、復帰の場として指揮した例があり、今回で2例目となります。ジェンダー施策に力を入れている松本市の音楽祭として、こうした人物に復帰の場を提供しているのではないかという見方もあります。さらに海外、特にフランスのメディアでは、復帰の速さについて、専門的な技能を持つ人物であっても、一般的な政治家と比べて早すぎるのではないか、より厳しい対応が必要ではないかという意見もあります。市長の見解をお聞かせください。
【市長】
政治家と音楽家を同列に論じることは必ずしも適切ではない部分もあるのではないかと思います。私が、今ご説明いただいたような詳細について、十分に承知していなかった部分もあります。そのうえで、今回の決定については、問題がないという判断のもとでアドバイザリー委員の皆さんが決定されたものと理解しておりますので、現時点で私がその判断に異議を唱える必要はないと考えています。ただし、ご指摘いただいた点については、私としても改めて内省してみたいと思います。
【記者】
武満徹さんの没後30年ということで、ふれあいコンサートでプログラムが組まれています。小澤さんとの盟友でもあり、以前には「武満徹メモリアルコンサート」として特別枠で音楽祭が開催されたこともありました。30年という節目であることに加え、ふれあいコンサートは会場がハーモニーホールで規模が小さくフルオーケストラが使えないこと、開催日も火曜日と金曜日でAプログラムやBプログラムと比べると縮小した印象が否めないようにも感じます。没後30年を機にメモリアルコンサートの開催を今後も働きかけていく考えや、松本市ともゆかりのある音楽家として、今後OMFで武満さんをどのように扱っていくのか、お考えがあればお聞かせください。
【市長】
音楽的な造詣の深い記者からのご質問で、実行委員長としてはお叱りを受けそうですが、私がお答えできる範囲は限られるかもしれません。ただ、捉え方によっては、ふれあいコンサートで武満徹さんを取り上げることによって、ふれあいコンサート自体の価値が高まるという側面もあるのではないかと感じています。
また、先ほど申しあげたように、音楽的な専門性については、かつては小澤征爾総監督が一手に決定していた部分を、現在はそれを引き継ぐ形でアドバイザリー委員の皆さんが主導し、音楽的観点からプログラム構成を決めています。そうした判断は基本的に尊重していきたいと考えています。そのうえで、今のようなご意見があったことについては、実行委員会の中やSKOのアドバイザリー委員の皆さんにも共有していきたいと思っています。
【記者】
本日の午前中に市立病院の職員の処分が発表されましたが、それについて市長のご意見をお伺いします。
【市長】
昨年、松本市立病院で起きた分娩事故に関して、関係した職員の処分が発表され、議会にも報告されました。市立病院の職員や病院局職員の処分については、地方公営企業法により、職員の任免を含めた取り扱いは病院事業管理者の責任で行うこととされており、指揮監督も管理者が担う仕組みになっています。今回の処分の決定にあたっては、病院の事務部長をトップとする懲戒審査委員会で協議し、その答申を受けて最終的に病院事業管理者が決定しました。私も先週、その決定方針について報告を受け、了承したところです。
私は病院事業管理者である北野さんに対して指揮監督権はありますが、個別の職員の処分について直接の権限はありませんので、北野さんの決定を了承しています。今回の処分の内容については、病院事業管理者がさまざまな観点から、当該医師や助産師、事務部長、看護部の関係者などの処分を決定しました。また、病院事業管理者自身についても、給料の10分の1を1カ月減額する方針を自ら決められたということです。すでに分娩機能は廃止していますが、今回の事故の教訓をしっかり受け止め、その他の医療行為についても安心・安全な医療の提供に取り組んでもらいたいと思っています。
【秘書広報室】
以上をもちまして、市長定例記者会見を終了します。
※AIにより文字おこしを行い、編集したものです。実際の発言とは異なる部分があります。